相続コラム

「相続税」のコラム

久々の更新です(>-<)

しばらくずっとフェイスブックばかり書いておりました。

 

改心し、今後はできるだけ定期的に更新することにします。

 

ところで、お客様から

「相続税は改正される(された)のでしょうか?」

というご質問をよく受けます。

 

基礎控除の引き下げ、最高税率の引き上げ、生命保険の非課税の縮小など、一時期は新聞紙上を賑わせておりましたが、その後一体どうなっているのでしょうか?

お客様によっては、もう既に改正されたものと思い込んでらっしゃる方も少なくありません。

みな情報が錯綜し、混乱しております。

 

いまここで真実を皆様にお知らせします。

 

いまだ改正されておりませんし、今後も改正されるかどうかは未定です。

いや、正確に申し上げると、昨年12月に公表された「社会保障・税の一体改革素案」にて、消費税の増税と合わせて「相続税の改正は、平成27年1月1日以後の相続または遺贈により取得する財産にかかる相続税について適用する。」と記載されておりますので、

 

この言葉を信じれば、平成27年以降に相続税の大増税が始まる、

ということになるのですが、果たしてどうなることやら。

この改正は、そもそもは平成23年度改正の目玉として、同年4月以降の相続より適用される予定でしたが、ねじれ国会などの政治混乱により廃案となり、その後平成24年1月以降の相続から適用開始とすべく再度協議されましたが、これまた廃案。

 

つまり今まで二度も廃案となっているのです。

 

そして、政治の混乱は今もなお続いております。

上記の素案が、このまま国会を通るのかどうか。私には全くわかりません。

様子を見守るしかありません。

 

ただ、物事は常に最悪を想定して備えておくことに越したことはありませんので、増税を見越したうえで対策を講じておくことは決して悪いことではありませんし、むしろ奨励すべきことでしょう。



節税対策筆頭としてまず真っ先に挙げられるのが、

賃貸用建物(マンション・アパート・貸ビルなど)の建築です。

はっきり言って、この節税効果は横綱級です。

 

時価1億円更地(借地権割合50%)があったとします。

路線価による相続税の評価額は、時価の約80%で8000万円。

つまり、相続が発生した際の財産評価額は、この8000万円です。

 

ところが、この更地の上に、2億円の賃貸マンションを建てると・・・

まず更地が貸家建付地となり、その評価額は、

8000万円×(1−借地権50%×借家権割合30%)=6,800万円

となります。つまり1,200万円の評価減少です。

何故かと言いますと、そのマンションに住む賃借人の権利

つまり借家権30%が減額要素として考慮されるからです。

 

そして建物の評価額は、こうなります。

2億円×固定資産税評価70%×(1−借家権割合30%

                                 =9,800万円

 

固定資産税評価額は市町村が決定しますので何とも断言できませんが、

おおむね時価の70%とされております。

この評価額に、借家権30%分を減額すると、

上記の通り半値以下の評価額になります。

嘘のような本当の話です。

 

通常、このような大規模の賃貸建物を建築する場合は、

金融機関のローンを組みます。

建築資金の全額をローンでまかなったとします。

このローンは債務として、マイナスの相続財産となります。

 

結論。

何もしなければ、財産評価額は更地の8000万円。

マンションを建築すれば、

 1.更地 6,800万円

 2.建物 9,800万円

 3.債務 △2億円

 4.合計 △3,400万円

 

・・・評価額は1億円以上も減少することになります。

(さらに小規模宅地の評価減を使って更に減らすこともできますが、

 話が長くなるので割愛します)

 

こんなことが許されるのか!?と思う人もいるかもしれませんが、

現行の法制ではこのようになっておりますので、

こうなるんです、としか言いようがありません。

 

ただし、注意点をいくつか。

まず、借家権割合は「借家人が借りている部分」のみ認められます。

つまり満室であれば、その建物全てを30%評価減できますが、

半分しか埋まってない場合は、建物の半分部分しか評価減できません。

 

そして、もっと重要なこと。

この節税対策は、短期的な効果は絶大ですが、

長期的に考えますと、逆に財産の額が増えてしまう可能性があります。

何故かというと、賃貸収入が入ってきますので、現金が増えます。

(当初の計画通りに部屋が埋まれば、の話ですが・・・)

そこそこ利回りの良い物件であれば20年程度で元が取れますので、

今より余計に財産が増えてしまう、ということになりかねません。

まあ、そうなったらそうなったで、次の物件を考えるという手もありますし、

そもそも現金は優良資産ですので、いくら持ってても困らないでしょう。

羨ましい悩みである、とも言えます。

 

土地を遊ばせている地主様は、是非ご検討を。

今後、我が国の人口は減りますが、

その一方で核家族化の進行に伴い賃貸物件の需要は増える、

(ただし札幌市など中核都市に限る)

という予測データもあります。




ご遺族に対する相続税の税務調査は、忘れた頃にやって来ます。

通常、相続発生日から3年後ぐらいです。

 

「え、そんなに遅いの?どうして?」

なぜかと言いますと、それまでの間、

税務調査官は必死に相続財産の事前現地調査をしているのです。

その主な調査対象は、ズバリ家族名義預金です。

 

「生前、自己の財産家族名義の預金に移し替えてないか?」

「その預金移し替えは、贈与契約成立しているか?いないか?」

「贈与契約が成立してない財産は、相続財産を構成する一財産として

 相続税が課税されるのであるが、キチンと適正に申告されているか?」

 

このようなことを、めぼしい銀行支店に出向いて現地調査し、

 

1.銀行印

   家族名義預金の銀行印は、被相続人の使用印鑑と同一でないか?

2.払い出し状況

   家族名義預金の払い出し伝票は、被相続人の筆跡と同一でないか?

3.贈与税の申告の有無

   家族名義預金への贈与は適正に申告されているか?

 

これらのポイントを総合的に勘案したうえで

名義預金の相続税申告漏れの証拠を掴むと、

ただちにご遺族のご自宅に電話して出向くのです。

 

ですから、

税務署から「相続税の税務調査したいのですが」と電話があった時点で、

もう既に税務署側は相当な事前調査を完了していると思って下さい。

 

そして税務調査官は、ご遺族との面談において



4.通帳・印鑑の保管状況
   通帳と印鑑は、名義人がしっかりと保有しており、

   かつ名義人がいつでも好きな時に使用できる状況にあったか?

5.贈与受諾の意思

   名義人は、その贈与を受諾したことをしっかりと認識しているか?

 

これらをヒアリングしたうえで、最終的な判断を下します。

 

・・・

 

我々税理士が、相続税の申告をするにあたって、

最も気を付けるポイントの一つが、この「名義預金」の存在です。

しかし、プライベートな問題が相当からむ部分ですので、

なかなかその実態を完璧に把握しきれないのが実情です。

ご自身の財産を生前に贈与される際は、

あらかじめ専門家にご相談のうえ、

充分に注意を払って執り行うのがベストです。



被相続人が、生前、ご自身の預金をせっせと家族名義口座に移し替えていた、

というケースは、実務上、非常に多く見られます。

 

問題となるのは、その預金が家族口座に振り込まれた際、

贈与契約が法的にキチンと成立していたかどうか、です。

成立していたならば、その預金は、贈与を受けたご家族の所有財産となります。

(ただし贈与税が課される場合がありますので、ご注意下さい。)

 

成立していないならば、その財産は(法律上)本人所有のままであり、

つまりそのご本人が死亡した際は、相続財産として遺産分割の対象となります。

 

相続税申告後の税務調査において、

この家族名義預金の存在が必ずクローズアップされます。

 

名義預金とは、

形式上の名義はご家族(奥様、お子様、お孫様など)であるが、

実質上の名義は他の者(お亡くなりになったご主人)である、など

つまり形式上の所有者と真の所有者が異なる預金のことをいいます。

贈与契約がしっかり成立していないと、このような現象が生じるのです。

 

相続税申告における名義預金の取り扱いは、以下の二つに大別されます。

 

1.贈与契約が有効に成立している場合

   名実共に家族名義の財産となりますので、遺産分割の対象とはなりません。

   (相続開始前3年以内の生前贈与加算、など幾つかの考慮事項があります。

    必ず専門家にご相談下さい。)

 

   ただし贈与税の申告をキチンとしてますか?

   贈与税の時効は、法定申告期限から6年です。

   時効前の未申告贈与については、すみやかに事後申告&納付しましょう。

 

2.贈与契約が有効に成立していない場合

   その財産は形式上の所有者(ご家族)ではなく、

   真の所有者(お亡くなりになった被相続人)の名義とみなされます。

   つまり遺産分割の対象となります。

   実務上は、預け入れ銀行との兼ね合いもありますので、

   形式上の名義人(未成年である場合は、その親)がそのまま相続する、

   というパターンが多いです。

 

   相続税申告の際は、

   この名義預金も課税の対象となりますので、ちゃんと財産リストに載せましょう。

   さもないと・・・

   税務調査官が隅々まで全て調べ上げて、税務調査でこっぴどく絞られます。

   くれぐれもご注意下さい。



相続が発生して数ヵ月後、

ご遺族の元に、税務署から

「相続についてのお尋ね」

という書類が郵送されることがあります。

 

税務署では、

毎年提出される確定申告書などの情報を元に、

「この人は財産を相当持ってそうだなぁ」

という情報を掴んでおります。

 

人が死亡して市町村役場に死亡届が提出されると、

その市町村役場から税務署に死亡者情報が送られます。

税務署は、その情報の中から「財産を持ってそうな人」をピックアップし、

そのご遺族に対して

「相続税が発生するのであれば、ちゃんと申告して納めて下さいね」

という警告を込めて、お尋ね書を発送するのです。

 

このお尋ね書の提出は任意であり、強制義務ではありません。

従って、提出しなくても特に罰則はありません。

「なんだか怖いので提出したくない」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、税務署は国家行政機関ですので、

その気になれば銀行等に出向いて死亡者の財産を強制調査することもできます。

隠し事をしてあらぬ疑いをかけられるのは本意ではありませんし、

このような質問状にはできるだけ進んで協力すべきでしょう。

やましいことを一切せず、正しい回答をすれば全く問題はないのです。

 

お尋ね書には、

お亡くなりになった方が有していた財産の一覧や、

相続人の状況などを記載します。

ですから、相続発生後すみやかに

「戸籍収集による相続人の確定」「財産目録の作成」「財産の時価評価」

などをキチンと行っていれば、容易に記載することができます。

 

一般の方々にとって、税務署は非常に堅苦しく怖いイメージがありますので、

いきなり税務署から書類が郵送されるとビックリされる方が多いでしょう。

しかし、恐れることはありません。

慌てず、騒がず、真実を記載すれば決して怖いものではありません。

どうぞお気軽に、我々専門家にご相談下さい。



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