相続コラム

「2010年7月」のコラム

例えば、このようなケースです。

 

1.妻子ある男性が、実母を受取人とする生命保険契約に加入して保険料を支払い続けた。

         ↓

2.その後、その男性が亡くなり、実母は保険金を受け取った。

 

民法上、

死亡にかかる生命保険金は、相続財産ではなく、その受取人固有の権利とされております。

 

ですから、このようなケースの場合、

その亡くなった男性の相続人は「妻」と「子」ですので、

まず原則として、相続人以外の者が、その相続財産を受け取ることはできません。

(もし相続人以外の者が受け取る場合、それは「相続人からの贈与」ということになりますので、

 贈与税が課されてしまいますのでご注意を)

 

しかし死亡保険金は相続財産ではありませんので、

相続人以外の者であっても、ちゃんと契約上「受取人」として指定されていれば、

その保険金を受け取ることができるのです。

 

 ただし、相続税の申告においては、次の点にご注意下さい。

 

1.死亡保険金は、民法上は相続財産ではありませんが、

  相続税法上は「みなし相続財産」という扱いを受け、相続税の課税対象となります。

  ですから相続人でない人(上記の例の場合は実母)が受け取った保険金については

  相続税の課税対象として、相続税の申告にきちんと反映させる必要があります。

  つまり、上記の実母は、相続人と共に、相続税の申告納付を行う義務があります。

 

2.相続人以外の者が受け取る保険金については、いわゆる「死亡保険金の非課税制度」

  (500万円×法定相続人の数=非課税、という有名なアレです)の対象外です。

  ですから実母が受け取った保険金は、その全額を相続財産に加算して申告納付する

  必要があります。

 

ごくまれに、例えば「内縁の妻」であった方から

「内縁の夫が亡くなって保険金を受け取ったのですが、私は相続人でないので相続税を納める必要はありませんよね?」というご質問を受けるのですが、

「残念ながら間違いです。他の相続人と一緒に相続税の申告納付を行って下さい。」

とお答えしております。

 

保険金の受け取りについては、くれぐれもご注意下さい。



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