相続コラム

「2015年3月」のコラム

故人の預貯金を解約し、不動産を名義変更し、さて相続税の申告に取り掛かろうか…
所得税の確定申告は毎年自分でやってるし、大丈夫だろう…

と甘く考えていたら、想像以上に難しくて全く手に負えず。
税務署に駆け込んでも「税理士に依頼してください」の一点張り。

…というのが、最近よく見られるパターンです。

確かに相続税の申告は、確定申告と同等レベルで考えていると大変な目に合います。
土地を評価するための地積図や路線価図の取得、定期預金の経過利息を計算するため金融機関への問い合わせ、債務控除の領収書集め、保険契約の解約返戻金の問合せ、などなど。

とにかくやるべきことが山のようにあります。
これらを短期間で一気に済ませて、それぞれの財産を評価して申告書を仕上げなければなりません。

小規模宅地の特例など、遺産分割の仕方次第で税額が大幅に変わることもあります。

一般的に、まず多くの方は遺産の手続きに目が行きますので、まず行政書士や司法書士に真っ先に相談するケースが多くみられます。

あるいは相続人間で揉め事があると、真っ先に弁護士に相談したりします。

断言しますが、これらは間違いです。

まず真っ先に相談すべきは、税理士です。
相続税の申告期限は10ヶ月、これはあっという間に過ぎてしまいます。
申告期限を守ることを第一優先として考えましょう。

遺族と揉めている場合も、常に相続税の申告期限を念頭に置いて動きましょう。

さもないと、余計なペナルティー(延滞税や加算税、税理士に対する駆け込み割増料金など)を支払うことになってしまいます。
優先順位を間違えないようにしましょう。

やはり、と言いますか、
税制改正発表の時点で想定されていたことではありますが、
今年に入ってから、相続税申告のご依頼が急増しております。

ワンストップの相続サポートを開始して以来、最高のペースです。
このままいくと、今年の申告受任件数はとてつもない数字になりそうです。

遺産総額4〜5千万円台など、これまで相続税にはあまり縁のなかった層の方々に対しても申告納税義務が課されることになったのですから、納税者の方々が戸惑う気持ちは非常によく理解できます。

※ 4〜5千万円台、と言うと縁の遠い話だと一瞬思ってしまうかもしれませんが、例えば公務員や大企業・中堅企業を長年勤務された方であれば、勤務時代の貯蓄・退職資金・ご自宅の土地建物・保険金融商品など合算すれば、このレベルの額に到達するのは決して珍しい話ではありません。


皆様にお願いです。

1.出来るだけ早めにご相談ください。

申告期限は10ヶ月以内です。
10ヶ月という期間は、あっという間です。
預貯金の解約、不動産の名義変更などはとりあえず後回しにして、まずは相続税の申告を片付けることを最優先にしましょう。

2.自力で簡単にできる、と安易に思わないでください。

所得税の確定申告とはレベルが違います。
小規模宅地の特例など、遺産分割の仕方によって税額が相当変わるケースもあります。
後で税務署の調査が入って大変な目に会う可能性もあります。
多少の報酬は支払ってでも税理士に依頼した方が無難です。


3.まずは戸籍収集、そして預貯金の調査。

弊社では、なるだけリーズナブルな値段で済ませたい、という方のために、ライトプランをご用意しております。
http://www.sapporo-souzokuzei.jp/liteplan/

亡くなった方の戸籍(出生時から死亡時まで)、相続人の戸籍・印鑑証明、預貯金の残高証明・過去10年間の取引履歴など、必要な書類は原則としてお客様に取得して頂くことを条件とさせて頂いております。

正直なところ、日頃このような手続きに不慣れなお客様が多いため、かなり時間を要するケースが多くございます。
そのような場合には通常プランに切り替えて頂き、当方で書類取得を代行させて頂くこともあります。

まずは戸籍、そして銀行廻り(解約手続きではなく調査)です。


4.家族名義の財産も調査の対象です。

最も多い事例として、配偶者の預貯金が「名義預金」として相続財産に認定されることがあります。

例えばずっと専業主婦であった奥様が、ご主人の稼ぎを少しずつ自分の口座に蓄えていた、というようなケースです。
他にも子供名義の預貯金口座を開設して多額の残高を預け入れており、当の子供がその事実を全く知らなかった、という事例も多くみられます。
このような場合、ほぼ例外なく故人の財産として相続税の対象となります。


5.信頼できる専門家に相談しましょう。

具体名は挙げませんが、
相続コーディネーター、相続コンサルタント等と称する団体などが、あちこちで宣伝広告しております。
彼らは国家資格を持ちませんので、自ら業務を行うことができません。
結局は外部の専門家達に丸投げ外注し、それらをコーディネートする料金、と称してお客様から報酬を得ているようです。
余りにも多額の請求に驚き、弊社に依頼を切り替えた方も多くございます。

空前の相続ブームであり、多くの業者が跋扈しております。
くれぐれもご注意ください。
何だかんだ言っても、一番安心できるのは国家資格の看板を背負った我々専門家です。

話はまだまだ尽きないのですが、キリが無いので一旦ここでまとめます。

まず皆が真っ先に思い浮かぶ「管理会社方式」は、その実態(実際ホントに管理しているのかどうか)が伴わない限りは、避けた方が無難です。
無理にやったところで、税務署に否認されるのがオチです。

そしてサブリース方式は、空室リスクを充分に検討した上でないと、これもまたお勧めできません。

そうなりますと、一番のお勧めはズバリ、不動産所有方式、ということになります。
ただしこれも、注釈付きです。
個人所有の既存物件を法人に移転するのは相当慎重に判断する必要がありますし、相続税対策として考えるならば相当長期的なシミュレーションで損得勘定する必要があります。

結局何だかネガティブな論評ばかりだな、という感想を持たれてしまいそうな総括ですが、少なくとも私(前島)が今まで見てきた限りにおいて、万年赤字経営だったり、代表者の貸付金が多額になっていたり、上手く経営できていないな、と思わざるを得ない会社が非常に多いのもまた事実なのです。

不動産賃貸業という「事業」を「経営」するわけですから、まさに経営センスが問われるわけです。
舐めてかからず、しっかりと腰を据えて経営に取り組む姿勢が大事です。

このページの先頭へ戻る