相続コラム

「2015年11月」のコラム

例えば、このように考えます。

相続税の最低税率は10%です。
つまり、税率10%未満の生前贈与をすれば、間違いなく節税効果が出ます。

では税率10%未満の贈与とは、具体的にどれぐらいでしょうか。
まず300万円の贈与税額を計算してみます。

(300万円?基礎控除額110万円)×10%=19万円

300万円に対して19万円の贈与税です。
実質的な税率は、

19万円÷300万円≒6.3%

明らかに節税効果が出ますね。
このように、

「300万円贈与すると19万円も税金を払うのか!」

と狭い視点で考えるのではなく、

「相続税率よりも安い税率で贈与できるのか!お得だ!」

と広い視点で考えるのが、賢い節税のコツです。

なぜこのようなことを長々と説明しているかと申しますと、
結局のところ、そもそも

「税務署に『贈与』として認められなければ何の意味も無いから」

です。

そのためには証拠を残すことです。

これをしっかりと理解したところで、
ようやく具体的な税率の有利不利の論点に入ることになります。

税率の有利不利とは、相続税と贈与税それぞれの税率を比較し、
どちらが有利かを比較することです。

例えば何百万円の贈与をした結果、
その贈与にかかる贈与税率が何パーセントであるか、

そして仮にその贈与をしなかったとすれば、
その財産にかかる相続税率が何パーセントであるか、

上記を比較し、
パーセンテージの低い方を選択する、ということです。


贈与の要件を満たすための要件は、他にも色々あります。

■贈与契約書を作成しているか?

法律上、贈与は口頭での意思疎通でも成立します。
しかし税務署などの第三者に対抗するためには、証拠が必要です。
これは贈与なんですよ、という物的証拠を一つでも多く残すことです。
そのためには贈与契約書をきちんと作成しておくべきです。

「家族間でそんな仰々しいこと、する必要あるの?」

家族間だからこそ、やるべきことはしっかりやりましょう。
なあなあではいけません。


■贈与税の申告・納付をしているか?

贈与するということは、その贈与にかかる税金、つまり贈与税の手続きをちゃんとしているか、ということになります。

「贈与すると贈与税がかかる、というのは、今や国民の常識でしょう。それをきちんとしていなかったということは、つまり贈与の意志が無かったということでしょう」
税務署側がよく使うロジックです。


■受贈者(もらった人)名義の通帳・銀行印等は本人が保管しているか?

贈与したということは、その贈与財産を好きに使ってもいい、ということです。
にも関わらず、相変わらず通帳や印鑑を贈与者(あげた人)の手元に保管している、というのでは、実質的に贈与したことにはならないでしょう。


■金銭の贈与は、銀行口座の振込みで行っているか?

現金の受け渡しだと、証拠が残りません。
預金口座を通じて行うのがベストです。


上記全てを満たせばそれで良い、ということではありません。
これらの事実一つ一つを積み重ねて、総合的に判断されることになります。

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