相続コラム

「2015年12月」のコラム

生前贈与、なかでも暦年贈与は、細く長く続けてこそ効果を発揮します。

まず太くやってしまうと、税率が高くなりますので、かえって損になる可能性があります。
「何もしないで相続税を払った方が安く済んだ」ということになってはいけません。

また短くやってしまうと、贈与の総額が少なくなるのは勿論のこと、タイミングによっては「生前贈与加算」に該当してしまう場合があります。

生前贈与加算とは

https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4161.htm
「相続などにより財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。」
(国税庁ホームページより抜粋)

つまり相続人に対する贈与のうち、相続日から3年以内のものについては、なかったものとされます。

10年続けて贈与した後に亡くなれば、直近3年分はなかったものとされますが、それ以前の7年分はOKです。
20年続けて贈与した後に亡くなれば、直近3年分はなかったものとされますが、それ以前の17年分はOKです。

つまり長く続けた方がお得、ということです。


さて、一人に対して年間300万円の贈与を10年間続けたとします。

贈与税額19万円×10年間=190万円

10年間で計190万円の贈与税を納付することになります。
これに対し、将来発生する相続税はどれだけ節税されたのでしょうか。

300万円の10年分ですから、3,000万円の財産が減少したことになります。
ご本人の贈与前の財産が2億円だとすれば、贈与後は1億7千万円です。
相続人の数が子3人であると仮定すると、

【贈与前】
(2億円?基礎控除額4,800万円)÷3=50,666千円
50,666千円×30%?700万円=8,199,800円
8,199,800円×3人=24,599,400円

【贈与後】
(1億7千万円?基礎控除額4,800万円)÷3=40,666千円
40,666千円×20%?200万円=6,133,200円
6,133,200円×3人=18,399,600円

【節税額】
24,599,400円?18,399,600円=6,199,800円


上記節税額から納付贈与税額を差し引くと、
6,199,800円?1,900,000円=4,299,800円

実に430万円弱の節税となります。


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