相続コラム

「相続税」のコラム

隠し財産の多くは、いわゆる金融資産です。
例えば銀行の預貯金であったり、投資信託であったり、株式であったり。

隠しようが無いのですが、
あえて隠すとすれば、例えば以下の方法が考えられましょう。

1.他人の名義に移し替える
2.現金または純金を自宅の床下、屋根裏などに隠す

上記のうち2は非常にドラマチックなものであり(?)
確か映画「マルサの女」の衝撃的なラストシーンでも使われてましたし、たまに新聞や雑誌のネタとしても使われてます。

ただ実際のところは1が大部分を占めるでありましょう。
いわゆる「名義預金」というもので、相続税における最重要論点として、見解の相違から裁判にまで発展することも多いです。

ところで税務署は一体どのような手法でこのような隠し財産を見つけるのでしょう。

私は税務署出身ではありませんので、税務署内部でどのような仕事をしているのか間近で観察したことは無いのですが、まあ大体察しは付きます。
さほど難しいことではありません。

故人の預金取引を過去まで遡るだけ遡れば、大体は分かります。
A銀行B支店の普通預金口座から●年●月●日に1千万円引き出されている。
この1千万円はどこへ消えたのか?
よし、B支店に出向いて当時の払出伝票を確認してみよう。

このように地道な作業を続けてみれば、かなり判明されるでしょう。

税務署と税理士の大きな違いはそこにあります。
税務署は国家権限で何でも調べられますし、金融機関も協力的です。
しかし税理士はあくまでも相手方の同意の上でしか行動できませんし、仮に同意があったとしても金融機関はそこまで積極的に協力してくれません。

また別の見方から考えてみましょう。
資産家は、毎年確定申告をします。
確定申告をみれば、どの程度の財産を有しているか、ほぼ察しは付きます。
にもかかわらず、相続財産がほんの僅かしか申告されてなかったら…。
私が税務署の職員だったら、総出で故人の自宅を家探しするでしょう。

素人の浅知恵は、たいてい見抜かれるものです。
それよりも適正な申告を心掛け、税務調査による精神的プレッシャー、加算税や延滞税のペナルティ等の被害に合わぬようにした方が賢明です。

私は決して税務署の回し者ではありません。
しかし後から隠すぐらいなら、贈与や保険加入など生前対策で賢く節税を図るべきだと思います。


不動産の登記というものは「第三者への対抗要件の具備」が第一義なので、必ずしなければならない、というものではありません。

従って、不動産の登記内容が必ずしも正しいとは限りません(例えば昔:原野→今:宅地なのに、相変わらず原野のまま地目が変更されていない、など)し、極端な話、登記されているべきモノが登記されていない、ということがままあります。

その代表的な例が、自己資金で建築した建物です。
金融資産を沢山持っている方が、ローンを組まずに自宅等を建築し、登記費用がもったいないので登記しなかった、というようなケースが多いです。

登記されてなくとも、建物は現実に存在します。
固定資産税は当然課されますので、課税明細をみれば未登記建物の評価額がしっかりと記載されているはずです。

その評価額を基準として、これまた当然ですが相続税の課税対象にもなります。

遺産分割協議を行い、その未登記物件を誰が相続するかを決めなければなりません。
分割協議書には、

「相続人○○は以下の物件を取得する。 土地××上に存する建物(未登記)」

というような感じで記載することになります。

相続後すぐに取り壊すならともかく、しばらく使い続ける、あるいは売却する予定があるのであれば、せっかくですから登記することをお勧めします。
土地家屋調査士と司法書士に依頼することになります。

報酬、登録免許税など結構な額にはなりますが、せっかくの機会です。
特に売却する予定があるのであれば、登記しなければ売却しようにもできませんから猶更です。

もちろん、建築した時点で登記するのがベストな選択であることは言うまでもありません。

相続税を算定する際に、いきなり厳密な評価額で算定するのではなく、まずザックリと大雑把な評価額で算定して「まあ大体○○○円ぐらいかかりそうですね」と心の準備をして頂き、それから時間をかけて厳密な評価作業に取り掛かるのが通常です。

その際、不動産の評価額は固定資産税の評価額を用いるのが一般的でしょう。

固定資産税の評価額は、時価の約7割。
相続税の評価額(路線価など)は、時価の約8割。

と言われております。

なので

固定資産税の評価額×1.1≒相続税の評価額

とザックリで概算します。

ザックリなら、まあこれでも構わないと思います。

しかし、上記は必ずしも全てのケースに当てはまるわけではありませんので、ご注意ください。
1.1どころではなく、相当乖離しているケースがたまにあります。
具体的に言いますと、市街地農地とか、私道と宅地が入り組んでいる地形などです。
このような使われ方をしている土地の場合、固定資産税と相続税(=財産評価基本通達)では、どうも評価の考え方が根本的に違うようです。
厳密に評価すると1.5倍ぐらい乖離していた(相続税評価の方が高かった)、というケースが珍しくありません。

遺産額が明らかに基礎控除額を上回っており、とりあえずザックリ概算で構わないので相続税額を知りたい、という場合には、固定資産税評価額の1.1倍で計算するのは一向に構わないと思います。

しかし、基礎控除額スレスレのケースで1.1倍の概算を行い「ああ、これなら基礎控除額を上回ることはなさそうだな、相続税の申告手続きをするのはやめておこう」と思い込むのは非常に危険です。
いざ厳密な評価をしてみると、基礎控除額をかなり上回っており、申告期限後に税務署が玄関のチャイムをピンポーン…、慌てて税理士が立会い…、という笑えない実話があります。

固定資産税の評価額と相続税の評価額は、必ずしも近似値であるとは限りません。
よく注意しましょう。

故人の預貯金を解約し、不動産を名義変更し、さて相続税の申告に取り掛かろうか…
所得税の確定申告は毎年自分でやってるし、大丈夫だろう…

と甘く考えていたら、想像以上に難しくて全く手に負えず。
税務署に駆け込んでも「税理士に依頼してください」の一点張り。

…というのが、最近よく見られるパターンです。

確かに相続税の申告は、確定申告と同等レベルで考えていると大変な目に合います。
土地を評価するための地積図や路線価図の取得、定期預金の経過利息を計算するため金融機関への問い合わせ、債務控除の領収書集め、保険契約の解約返戻金の問合せ、などなど。

とにかくやるべきことが山のようにあります。
これらを短期間で一気に済ませて、それぞれの財産を評価して申告書を仕上げなければなりません。

小規模宅地の特例など、遺産分割の仕方次第で税額が大幅に変わることもあります。

一般的に、まず多くの方は遺産の手続きに目が行きますので、まず行政書士や司法書士に真っ先に相談するケースが多くみられます。

あるいは相続人間で揉め事があると、真っ先に弁護士に相談したりします。

断言しますが、これらは間違いです。

まず真っ先に相談すべきは、税理士です。
相続税の申告期限は10ヶ月、これはあっという間に過ぎてしまいます。
申告期限を守ることを第一優先として考えましょう。

遺族と揉めている場合も、常に相続税の申告期限を念頭に置いて動きましょう。

さもないと、余計なペナルティー(延滞税や加算税、税理士に対する駆け込み割増料金など)を支払うことになってしまいます。
優先順位を間違えないようにしましょう。

やはり、と言いますか、
税制改正発表の時点で想定されていたことではありますが、
今年に入ってから、相続税申告のご依頼が急増しております。

ワンストップの相続サポートを開始して以来、最高のペースです。
このままいくと、今年の申告受任件数はとてつもない数字になりそうです。

遺産総額4〜5千万円台など、これまで相続税にはあまり縁のなかった層の方々に対しても申告納税義務が課されることになったのですから、納税者の方々が戸惑う気持ちは非常によく理解できます。

※ 4〜5千万円台、と言うと縁の遠い話だと一瞬思ってしまうかもしれませんが、例えば公務員や大企業・中堅企業を長年勤務された方であれば、勤務時代の貯蓄・退職資金・ご自宅の土地建物・保険金融商品など合算すれば、このレベルの額に到達するのは決して珍しい話ではありません。


皆様にお願いです。

1.出来るだけ早めにご相談ください。

申告期限は10ヶ月以内です。
10ヶ月という期間は、あっという間です。
預貯金の解約、不動産の名義変更などはとりあえず後回しにして、まずは相続税の申告を片付けることを最優先にしましょう。

2.自力で簡単にできる、と安易に思わないでください。

所得税の確定申告とはレベルが違います。
小規模宅地の特例など、遺産分割の仕方によって税額が相当変わるケースもあります。
後で税務署の調査が入って大変な目に会う可能性もあります。
多少の報酬は支払ってでも税理士に依頼した方が無難です。


3.まずは戸籍収集、そして預貯金の調査。

弊社では、なるだけリーズナブルな値段で済ませたい、という方のために、ライトプランをご用意しております。
http://www.sapporo-souzokuzei.jp/liteplan/

亡くなった方の戸籍(出生時から死亡時まで)、相続人の戸籍・印鑑証明、預貯金の残高証明・過去10年間の取引履歴など、必要な書類は原則としてお客様に取得して頂くことを条件とさせて頂いております。

正直なところ、日頃このような手続きに不慣れなお客様が多いため、かなり時間を要するケースが多くございます。
そのような場合には通常プランに切り替えて頂き、当方で書類取得を代行させて頂くこともあります。

まずは戸籍、そして銀行廻り(解約手続きではなく調査)です。


4.家族名義の財産も調査の対象です。

最も多い事例として、配偶者の預貯金が「名義預金」として相続財産に認定されることがあります。

例えばずっと専業主婦であった奥様が、ご主人の稼ぎを少しずつ自分の口座に蓄えていた、というようなケースです。
他にも子供名義の預貯金口座を開設して多額の残高を預け入れており、当の子供がその事実を全く知らなかった、という事例も多くみられます。
このような場合、ほぼ例外なく故人の財産として相続税の対象となります。


5.信頼できる専門家に相談しましょう。

具体名は挙げませんが、
相続コーディネーター、相続コンサルタント等と称する団体などが、あちこちで宣伝広告しております。
彼らは国家資格を持ちませんので、自ら業務を行うことができません。
結局は外部の専門家達に丸投げ外注し、それらをコーディネートする料金、と称してお客様から報酬を得ているようです。
余りにも多額の請求に驚き、弊社に依頼を切り替えた方も多くございます。

空前の相続ブームであり、多くの業者が跋扈しております。
くれぐれもご注意ください。
何だかんだ言っても、一番安心できるのは国家資格の看板を背負った我々専門家です。

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