相続コラム

「遺言」のコラム

子も親もなく、将来自分が亡くなった際の相続人が妻と兄弟姉妹だけの場合は、

その兄弟姉妹に遺留分はありませんので、

「財産は全て妻へ」という遺言を作っておいても特に支障はありませんし、

むしろ積極的にそうすべきでしょう。

問題なのは、子が複数いる場合などです。

一番面倒をみてくれた子だけに財産をたくさん残したい、

という気持ちは、私も一人の人間として非常によく理解できるのですが、

これが後々トラブルの原因となります。

 

他の子の遺留分を侵害する内容の遺言を残してしまうと、

相続発生の際、その他の子が99%怒り、兄弟喧嘩が始まります。

 

ですので、少なくとも

全ての相続人に最低ラインの遺留分を保証する内容の

遺言を作成することを強くお勧めしております。

 

そのためには、遺言の内容を考える際、

1.自分が亡くなった際に相続人となる人 (推定相続人といいます)

2.自分の財産全ての状況、及びそれぞれの時価

この二つは完全に把握した上で打ち合わせすることが必要です。




公正証書遺言に関する初回打合せにつきましては、

次に掲げる書類を持参して頂けるとお話がスムーズに進みます。

 

1.所有する不動産「固定資産税納税通知書」

   … 不動産の内容及び時価を確認するために必要です。


2.銀行預貯金通帳・証書 全て

   … 預貯金の内容及び残高を確認するために必要です。

     あらかじめ全て記帳してきて下さい。

 

3.その他所有する財産を確認できるもの

   (1)証券会社と取引している場合

     … 直近の取引残高報告書

   (2)中小会社などを経営している場合

     … 直近3期分の決算書類一式

   (3)その他

     … ゴルフ会員権、自家用車など確認できる書類

上記全て、ご本人様の財産状況を確認するための書類です。

推定相続人などの状況につきましては当日ヒアリングさせて頂きます。



自筆証書遺言は、

 

1.遺言内容を誰にも知られず作成できる

2.自宅などで簡単かつお手軽に作成できる

3.費用が一切かからない

 

というメリットが一方で、

 

1.民法で厳格に定められた様式に少しでもそぐわないと無効となる

   (例 : 全文自筆(ワープロや代筆は不可)、日付、署名捺印など)

2.相続発生後、その有効性について遺族間で争われることが多い

   (例 : 本当に本人が正常な精神状態で書いたのか?など)

3.生存中に失くしたり、死後発見されないことも多い

 

というデメリットもございます。

諸刃の剣、と言ってもよいでしょう。

一例を挙げます。

相続発生後、その遺言の内容に納得のいかないご遺族の一人が

「これ本当に親父が書いたのか?誰かの代筆じゃないのか?」

と主張したとします。

もし代筆であれば、その遺言は法的に無効となり、拘束力を失います。

このような場合に判定基準となるのが、筆跡鑑定です。

被相続人が生前に書いた日記や年賀状などが、鑑定の材料となります。

 

ここで問題となるのが、主に次の二点。

まず一点目。

今はパソコン&ワープロの時代なので、自筆の鑑定材料が少ないこと。

今どきの日本人は、年賀状の宛名をパソコンソフトで印刷作成します。

せいぜい裏面に「来年もよろしく」と自署するぐらいではないでしょうか。

紙に鉛筆で自分の文字を書く、という習慣が極端に減ってきているのです。

 

そして二点目。

若干失礼をあえて承知で書かせて頂きますと、

遺言はお年を召されてから作成されることが多いので、

お若い時分と比べて、

手が震えるなどの理由で、筆跡が変化していることが多いです。

ですから、お若い時分の筆跡を持ち出されて

「ほら、筆跡が全然違うだろう!」と

証言されてしまうと、反論するのが難しくなってしまうことがあります。

 

上記にご留意のうえ、

自筆証書遺言を作成される際には、

筆跡鑑定の材料をしっかりと残しておくことが必要です。



「遺言書を作成しよう」と思い立ってから、

実際に作成されるまでの大まかな流れは、以下の通りです。

 

1.推定相続人の確認

   将来相続が発生した際に相続人になるであろうと予測される人のことを、

   推定相続人といいます。

   ご自身の出生時までの戸籍謄本を収集することによって調査します。

   遺留分の減殺請求に備えて対策を講じるために絶対必要な作業です。

 

2.財産目録の作成

   ご自身が今現在保有されている財産のリストを作成します。

   具体的には、

    現金・銀行預金・郵便貯金 ・・・ 通帳や証書、残高証明書など

    不動産 ・・・ 固定資産税の課税明細書、登記簿謄本など

    金融商品(上場株式・投資信託など) ・・・ 証券会社の取引明細書など

    自社株式 ・・・ 決算書(3期分)、税務申告書、会社謄本、定款など

    生命保険 ・・・ 保険証書など

   これらの資料を揃えて頂くことによって、ほぼ9割方は作成可能です。

   銀行借入金など、マイナスの債務も忘れずにリスト作成しておきましょう。

 

3.財産の時価評価

   上記2で作成した財産目録を元に、それぞれの財産の時価を評価します。

   現金預金はそのままの金額が時価となりますが、

   最もやっかいなのは不動産、そして自社株式です。

   ただし簡易的な評価で差し支えなければ、

    不動産 ・・・ 固定資産税評価額 ÷ 0.7 (±借地権・借家権を考慮)

    自社株式 ・・・ 決算書の純資産額 (ただし不動産のみ時価評価替え)

   大ざっぱではありますが、こんな感じで評価してもよろしいでしょう。


4.財産処分案の確定

   誰に、何を、どのように分けるかを考えます。

   気を付けるべきポイントは、

    残されるであろう配偶者の住居・生活資金

    自社株式は全て後継者に渡すこと (決して他者に分散させてはならない!)

    相続人同士で揉めないようにすること (特に遺留分に注意!)

    遺留分対策として、生命保険を活用すること

    分けにくい不要財産は、出来るだけ処分して現金化しておくこと

   他にもまだ沢山ありますが、詳細は別記事にて。


5.自筆証書にするか、公正証書にするかを決める

   自筆証書と公正証書、どちらもそれぞれ長所と短所があります。

   どちらが良いか、しっかりと考えましょう。

   公正証書をお奨めします。

   公正証書は費用と手間がかかりますが、

   「安全」

   「確実」

   というメリットは耐え難いものです。

 

6.文章素案の作成

   いきなり本物を作成する前に、まず下書きしてみましょう。

   遺言書の法的要件は、法律で厳格に定められております。

   「誰に何をいくら渡す」というような表現方法にもコツがあります。

   必ずプロの専門家に確認して貰いましょう。

   例えば弁護士や行政書士、司法書士などの国家資格者、

   又は公正証書の作成であれば公証人に相談することも可能です。

 

7.作成と保管

   自筆証書と公正証書、それぞれ作成方法と保管方法は違います。

   しっかりと専門家に確認しておきましょう。

   自筆証書は、厳格な作成方法はもちろんのこと、

   保管方法も非常に重要です。

   失くさないよう、ご遺族に発見されやすいよう、そして何より、

   ご遺族が発見後ただちに開封しないよう

   (家庭裁判所に持参して開封しないと、罰金等が課されます。要注意!)

   配慮しなければなりません。

   公正証書は、証人2名の立会いが必要です。

   身内以外の第三者、なるべく我々のような専門家に依頼しましょう。


   遺言書の文面にて、遺言執行者も必ず定めておきましょう。

   いざ相続発生の際、遺言内容の執行がスムーズに進みますので、

   ご遺族があれこれと余計な悩みをせずに済みます。

   弁護士や行政書士など、プロの専門家を執行者にするのが最良です。



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