相続コラム

「2016年3月」のコラム

今年の税制改正大綱は全体的に地味ではありますが、いくつか目を引く内容もあります。
その中の一つに、タワーマンション節税を防止する案があります。

そもそもタワーマンション節税とは何かを解説します。

不動産の相続税評価額は、路線価や固定資産税評価額に基づき、更に借地権や貸家権など減額要因が少なからずありますので、実際の売買価格よりも低い評価額となります。
そこを狙い目として、流通性の高いタワーマンションの高層階部分を購入します。

仮に1億円で購入したとしましょう。
物件の条件等にもよりますが、概ね7?8千万円ぐらい、場合によっては半額の5千万円ぐらいの評価額になることもあります。相続税の節税効果としては莫大なものになります。

その所有者が亡くなった後、その物件を相続した相続人は直ちに物件を売却し、1億円のキャッシュを手に入れます。
これが節税スキームの概要です。

これはけしからんということで、大綱で高層階の相続税評価額を引き上げる検討に入ることになりました。売買価格水準にほぼ近い評価額にして節税効果を無くすということです。

具体的には、評価の元となる固定資産税評価額に一定の率を乗じて評価することになるのでしょう。

現時点では大綱なので最終決定ではありませんが、まあ要するに「いたちごっこ」です。
国側と納税者側との間で、今後もこのようないたちごっこは延々と繰り返されるのでしょう。
我が国の税制の宿命と言えます。

応用編というほどのレベルではないのですが、株式会社の株式を生前に移転するタイミングについて解説します。

株式の評価は、その会社が抱える内部留保の額によって増減します。
利益を出せば評価額は増えますし、逆に赤字を出せば減ります。

これを活用し、赤字を出したタイミングで贈与する、という方法があります。
小規模な零細企業はそもそも内部留保が薄いことが多いので、ちょっとした赤字ですぐに債務超過となり、評価額がゼロとなることが多いです。役員報酬を多めにするなどの方法を検討しましょう。

あるいは、そもそも会社を設立する時点で、株主を自分以外の者にする方法もあります。
この場合は、その出資資金の出処がどこか(出資者自身の財産か、それとも他人の財産か)が税務上の論点となりますので、要注意です。


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