相続コラム

「2011年7月」のコラム

「遺言書を作成しよう」と思い立ってから、

実際に作成されるまでの大まかな流れは、以下の通りです。

 

1.推定相続人の確認

   将来相続が発生した際に相続人になるであろうと予測される人のことを、

   推定相続人といいます。

   ご自身の出生時までの戸籍謄本を収集することによって調査します。

   遺留分の減殺請求に備えて対策を講じるために絶対必要な作業です。

 

2.財産目録の作成

   ご自身が今現在保有されている財産のリストを作成します。

   具体的には、

    現金・銀行預金・郵便貯金 ・・・ 通帳や証書、残高証明書など

    不動産 ・・・ 固定資産税の課税明細書、登記簿謄本など

    金融商品(上場株式・投資信託など) ・・・ 証券会社の取引明細書など

    自社株式 ・・・ 決算書(3期分)、税務申告書、会社謄本、定款など

    生命保険 ・・・ 保険証書など

   これらの資料を揃えて頂くことによって、ほぼ9割方は作成可能です。

   銀行借入金など、マイナスの債務も忘れずにリスト作成しておきましょう。

 

3.財産の時価評価

   上記2で作成した財産目録を元に、それぞれの財産の時価を評価します。

   現金預金はそのままの金額が時価となりますが、

   最もやっかいなのは不動産、そして自社株式です。

   ただし簡易的な評価で差し支えなければ、

    不動産 ・・・ 固定資産税評価額 ÷ 0.7 (±借地権・借家権を考慮)

    自社株式 ・・・ 決算書の純資産額 (ただし不動産のみ時価評価替え)

   大ざっぱではありますが、こんな感じで評価してもよろしいでしょう。


4.財産処分案の確定

   誰に、何を、どのように分けるかを考えます。

   気を付けるべきポイントは、

    残されるであろう配偶者の住居・生活資金

    自社株式は全て後継者に渡すこと (決して他者に分散させてはならない!)

    相続人同士で揉めないようにすること (特に遺留分に注意!)

    遺留分対策として、生命保険を活用すること

    分けにくい不要財産は、出来るだけ処分して現金化しておくこと

   他にもまだ沢山ありますが、詳細は別記事にて。


5.自筆証書にするか、公正証書にするかを決める

   自筆証書と公正証書、どちらもそれぞれ長所と短所があります。

   どちらが良いか、しっかりと考えましょう。

   公正証書をお奨めします。

   公正証書は費用と手間がかかりますが、

   「安全」

   「確実」

   というメリットは耐え難いものです。

 

6.文章素案の作成

   いきなり本物を作成する前に、まず下書きしてみましょう。

   遺言書の法的要件は、法律で厳格に定められております。

   「誰に何をいくら渡す」というような表現方法にもコツがあります。

   必ずプロの専門家に確認して貰いましょう。

   例えば弁護士や行政書士、司法書士などの国家資格者、

   又は公正証書の作成であれば公証人に相談することも可能です。

 

7.作成と保管

   自筆証書と公正証書、それぞれ作成方法と保管方法は違います。

   しっかりと専門家に確認しておきましょう。

   自筆証書は、厳格な作成方法はもちろんのこと、

   保管方法も非常に重要です。

   失くさないよう、ご遺族に発見されやすいよう、そして何より、

   ご遺族が発見後ただちに開封しないよう

   (家庭裁判所に持参して開封しないと、罰金等が課されます。要注意!)

   配慮しなければなりません。

   公正証書は、証人2名の立会いが必要です。

   身内以外の第三者、なるべく我々のような専門家に依頼しましょう。


   遺言書の文面にて、遺言執行者も必ず定めておきましょう。

   いざ相続発生の際、遺言内容の執行がスムーズに進みますので、

   ご遺族があれこれと余計な悩みをせずに済みます。

   弁護士や行政書士など、プロの専門家を執行者にするのが最良です。



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