相続コラム

「2011年7月」のコラム

お客様のご関心が非常に高い

相続時精算課税制度

についてご説明します。

 

相続時精算課税制度とは、

1.その年の1月1日時点65歳以上(※)のまたはが、

2.その年の1月1日時点20歳以上(その子が亡くなって

  いる場合には、その孫)に対して贈与をし、

3.翌年の2月1日から3月15日までの間に、この制度の適用を受け

  る旨の届出書 を贈与税申告書に添付して税務署に提出した場合、

 

その贈与の額のうち、

特別控除額2,500万円(※)までは贈与税がかからず、

2,500万円を超えた部分に対してのみ20%の贈与税が課税される

という制度です。

 ※ 住宅取得資金等の贈与については、また別の特例がございます。

 

ちなみにこの特別控除額2,500万円は、

その贈与をした父または母が亡くなるまでの間ずっと、

複数年に渡ってゼロになるまで利用可能です。

 

具体例を挙げます。

平成21年、

父Aさん(68歳)が、息子Bさん(30歳)に1,800万円の現金を贈与しました。

贈与の額1800万円は特別控除額2,500万円以下ですので、

この年の贈与税はゼロです。

そして特別控除額の残りは、2,500万円−1,800万円 = 700万円、です。

この残り700万円は、翌年度以降に繰り越して利用することができます。

 

平成22年、

またまた父Aさんが息子Bさんに、1,000万円を贈与しました。

特別控除額の残りは700万円ですので、これを超える金額つまり

1,000万円−700万円 = 300万円、に対して贈与税が課税されます。

贈与税率は20%ですので、税額は300万円×20% = 160万円、です。

 

弊社にいらっしゃる生前贈与のご相談は、

この制度を利用して贈与税をゼロにすることができるパターンが非常に多いです。

前回ご説明した暦年贈与だと目玉が飛び出るほど多額の贈与税が発生しますが、

この制度であればそのような弊害なくスムーズに財産移転することが可能です。

 

ただし、いくつか注意すべき点がございます。

詳しくは次回にて。



さて、まずは基本中の基本、

暦年課税制度

についてご説明します。

 

暦年課税とは、その名の通り、

暦年(つまりその年の1月1日から12月31日まで)を一つの単位として

その期間内に贈与を受けた金額の合計額に対して贈与税を課する、

というものです。

 

具体例。

Aさんが、次の通り贈与を受けたとします。

 

(1) 平成21年05月12日 Bさんから現金100万円

(2) 平成21年09月03日 Cさんから現金 50万円

(3) 平成22年01月28日 Bさんから現金120万円

 

この場合、平成21年度の贈与税が課されるのは、上の二つ。

つまり、(1)の100万円+(2)の50万円 = 150万円、です。

(3)の120万円は、翌年つまり平成22年の課税対象となります。

 

平成21年の間に贈与を受けた金額の合計額 …

平成22年の間に贈与を受けた金額の合計額 …

というように、

暦年単位で贈与税を計算するのです。

これがつまり、暦年課税というものです。

 

ではまた上記の具体例に戻ります。

平成21年に贈与を受けた金額の合計額は、150万円です。

この150万円、全額に対して贈与税が課されるのでしょうか?

いいえ、違います。

基礎控除額110万円を差し引き、

その差し引いた残りの金額に対して課税されるのです。

つまり、

150万円−基礎控除額110万円 = 40万円

この40万円に対して税率(この場合は10%)を乗じた贈与税が課されます。

 

上記具体例でいきますと、

基礎控除を差し引いた残額40万円×10% = 贈与税額4万円

 

つまり結論、

150万円の贈与を受け、それに対して課される贈与税の額は4万円です。

 

ここで

「じゃあ、一年間に贈与を受ける金額を、

基礎控除の110万円以下に抑えれば、 贈与税はゼロになるの?」

と思ったアナタ、大正解です! 結構節税センスあるかも!



お客様からのご相談で最も多いのが、

生前贈与

に関するご相談です。

 

特に皆様のご関心を引くのは、ズバリ贈与税です。

「自宅を息子に贈与したいんだけど、贈与税はいくらかかるんだろう?」

と疑問を持たれるのは、当然ですよね。

 

そこで、今回から数回に分けて、

贈与税の大まかな仕組みを解説してみたいと思います。

私(所長の前島です)は学者ではなく実務家ですので、

あくまでも実務に即した解説を心掛けてみます。

 

私が今まで数多くのご相談を受けた中で、

(ここ最近、ホントにたくさんのご相談を受けております。

 どうもありがとうございます。)

皆様のご関心が特に高いと思われるのが、

 

(1)相続時精算課税について

   … 「2500万円まで贈与税ゼロって聞いたんだけど、本当ですか?」

(2)不動産評価について

   … 「この土地の評価はいくら?で、結局贈与税はいくら?」

(3)相続税対策としての効果度合い

   … 「この贈与をすることによって、将来の相続税は少なくなるの?」

 

このようなところではないかと思われます。

これらの疑問がスッキリ解決するように、

何とか頑張ってシリーズを書き上げます。



不動産は、非常に様々な税金がからんできます。

その中でも、特にウッカリ見落としがちなのが「不動産取得税 」です。

 

不動産取得税とは、

購入新築、又は贈与を受けた、などの理由により

不動産を新たに取得した人に対して課される税金です。

相続により取得した人には課されませんのでご安心下さい)

 

なぜウッカリ見落としがちなのかと申し上げますと、

まず第一に都道府県税事務所が一方的に算定して課税するものであること、

そして第二に、取得したご本人が忘れた頃に納税通知書が突然郵送されます。

(通常、取得してから3ヶ月後いきなり郵送されます)

 

税額は、

時価 固定資産税評価額 × 3%

                       ↓

              店舗・工場など、居宅以外の建物の場合は4%

です。

 

ですから、例えば

土地建物合わせて1000万円の住宅を購入した場合、

課されるべき不動産取得税の額は

  1000万円×3%=30万円

となります。

 

「エッ、そんなに高いの!?」

と驚かれた方、ご安心下さい。

次のとおり、色々な軽減措置がございます。

 

土地を購入して、その上に住宅を新築した場合

新築の建売住宅(またはマンション)を購入した場合

中古住宅と土地、または中古マンションを購入した場合

 

軽減措置の適用を受ければ、

上記のような1000万円の住宅購入の場合、

不動産取得税は30万円ではなく、ゼロ円になるかもしれません。

これらの手続きなどにつきましても、

弊社で代行させて頂くことは可能です。

どうぞお気軽にご相談下さい!



将来発生するであろう相続に備えて、

生前に出来るだけの対策を講じるのはとても有意義なことです。

 

ここで絶対に忘れてはならないことがあります。

相続対策の優先順位です。

 

第一順位:分割対策

       (誰に、何を、いくら分けるのか?)

第二順位:納税対策

       (相続税はいくら発生するのか?現金で一括納付できるか?)

第三順位:節税対策

       (相続税額を少なくすることは可能か?)

 

この順位を間違えると、トンチンカンな対策になってしまいます。

 

例えば、賃貸マンションの購入。

手持ち現金で賃貸マンションを購入することは、

確かに(短期的な)節税対策としては有効です。

しかし、それを実施することによって、

将来発生するであろう相続税の納税資金が足りなくなってしまったり、

又は複数の相続人に対して公平な分割をしにくくなってしまう可能性もあります。

 

何よりもまず優先して考えるべきは、分割対策です。

相続人が皆納得できるよう、キチンと分割できる財産構成にすることです。

 

次に考えるべきは、納税対策です。

分割対策実施後の財産構成で、無理なく相続税を支払えるようにすることです。

 

節税対策は、優先順位としては最下段です。

余力があったらやる、という程度の認識で充分。無理をしてはいけません。



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