相続コラム

「2011年7月」のコラム

危急時遺言の作成後20日以内に、

家庭裁判所確認の申し立てを行います。

裁判所は、その遺言の内容が遺言者の真意に基づくものである、

との確証を得るために、その遺言の証人や相続人など

利害関係者に対して聴取などを行います。

 

ここでポイントとなるのは、

危急時遺言は一刻を争う危篤時に作成するものなので、

通常は入院中の病室で行うケースが圧倒的に多いはずです。

そこで主治医が同席してくれたら。

いや、いっそのこと証人の一人として署名捺印してくれたら。

それはもう、裁判所が確認するにあたって、非常に強力な武器となります。

主治医の意見は絶大な効果があることでしょう。

 

ところが、これを嫌がる医師が多いのが現実として辛いところです。

署名捺印を嫌がるのはまだ気持ちとして分かるのですが、

同席すら嫌がる医師もいます。

こちらから強制するワケにもいかないので、ちょっと残念です。

特に大規模病院であるほど、この傾向は強いようです。

 

医師がダメなら、せめて看護師さんでも・・・

と思うのですが、余計にハードルが高かったりします。

まあ看護師さんもお忙しいので仕方ないのですが・・・。

 

この件に関しては、

病院側に対して出来るだけ協力して頂けるよう、

我々士業サイドも啓蒙する必要がある、と痛感しているところです。




一般危急時遺言について解説します。

 

その名の通り、

遺言者が危急の時にあるとき、

例えば余命1〜2日で、とても今から公正証書遺言を作る余裕がない、

そんな逼迫した局面において、

証人3名の立会いの元、

その証人のうち1名が遺言者の意志を口頭にて聞き取り、

その意志を筆記して書面にしたため、かつそれを読み上げ、

その書面の内容が遺言者の意志通りであることを残りの証人が確認し、

証人3名全員がその書面に署名捺印します。

 

その後20日以内に、最寄りの家庭裁判所にて、

遺言のコピーなど必要書類を提出し、確認の申し立てをします。

家庭裁判所は、証人を呼び出して事情聴取するなどして、

その遺言が本当に遺言者の意志に相違ないことを調査します。

 

確認を受け、そして更に遺言者が亡くなった後、

上記確認とは別途、検認の手続きを行います。

その後ようやく遺言執行が行われます。

 

・・・

 

実際やってみるとわかりますが、かなり面倒です。

しかし、本当に時間の余裕がないとき、他に選択の余地がないときは

これでやるしかありません。

 

裁判所でも滅多に取り扱われないらしく、

確認の申請に行くと「あれま、随分と珍しい」と

まるで申請者の私が天然記念物でもあるかの如く扱われます。




地主様相続対策をご提案する際に、

まずその地主様が所有する全不動産の活用状況をチェックするのですが、

必ずと言っていいほど存在するのが貸宅地です。

 

要するに、読んで字のごとく

「他人に貸しており、かつ他人がその土地の上に自宅などを建てている」

ということなのですが、これが非常に厄介な代物です。

 

何が厄介かと言いますと、

とにかく借りている側の法的権利がとてつもなく強い

退去して貰おうにも莫大な退去費用(借地権の買い取り費用)を

支払わねばなりませんし、賃料の値上げもそう簡単にはいきません。

 

よくあるケースとして、

数十年以上前、つまり先代の頃からず〜っと腐れ縁で貸し続けており、

お互いの交流もほとんど無く、かつ賃貸料も据え置きのままタダ同然、

本当は新しい賃貸アパートを建てたいので退去して欲しいのだが、

借地人はかなり高齢で、無理に退去してもらうのも気が引けるし、

そうこう悩んでいる間にその借地人が無くなり、

借地権はその相続人(息子)へ相続され、人間関係は益々疎遠に・・・

 

こうなってしまうと、もう大変です。

このような問題は先送りせず、早めに対処しましょう。

 

所有財産は不動産ばかりで、現金預金の残高が少ない、

という地主様が非常に多いです。

今後発生するであろう相続税を支払う財源が全然足りない、

という方もよく見受けられます。

 

そのような場合の事前対策として、

例えば所有不動産の一部売却

あるいは賃貸物件建築等の収益による現金獲得&評価減

など色々とご提案するのですが、

その際に必ず障害となるのが、貸宅地です。

 

再度申し上げます。

問題は先送りせず、早めに対処しましょう。

その厄介な問題を次の世代に残さず、自らの代で解決するよう善処しましょう。



ご遺族に対する相続税の税務調査は、忘れた頃にやって来ます。

通常、相続発生日から3年後ぐらいです。

 

「え、そんなに遅いの?どうして?」

なぜかと言いますと、それまでの間、

税務調査官は必死に相続財産の事前現地調査をしているのです。

その主な調査対象は、ズバリ家族名義預金です。

 

「生前、自己の財産家族名義の預金に移し替えてないか?」

「その預金移し替えは、贈与契約成立しているか?いないか?」

「贈与契約が成立してない財産は、相続財産を構成する一財産として

 相続税が課税されるのであるが、キチンと適正に申告されているか?」

 

このようなことを、めぼしい銀行支店に出向いて現地調査し、

 

1.銀行印

   家族名義預金の銀行印は、被相続人の使用印鑑と同一でないか?

2.払い出し状況

   家族名義預金の払い出し伝票は、被相続人の筆跡と同一でないか?

3.贈与税の申告の有無

   家族名義預金への贈与は適正に申告されているか?

 

これらのポイントを総合的に勘案したうえで

名義預金の相続税申告漏れの証拠を掴むと、

ただちにご遺族のご自宅に電話して出向くのです。

 

ですから、

税務署から「相続税の税務調査したいのですが」と電話があった時点で、

もう既に税務署側は相当な事前調査を完了していると思って下さい。

 

そして税務調査官は、ご遺族との面談において



4.通帳・印鑑の保管状況
   通帳と印鑑は、名義人がしっかりと保有しており、

   かつ名義人がいつでも好きな時に使用できる状況にあったか?

5.贈与受諾の意思

   名義人は、その贈与を受諾したことをしっかりと認識しているか?

 

これらをヒアリングしたうえで、最終的な判断を下します。

 

・・・

 

我々税理士が、相続税の申告をするにあたって、

最も気を付けるポイントの一つが、この「名義預金」の存在です。

しかし、プライベートな問題が相当からむ部分ですので、

なかなかその実態を完璧に把握しきれないのが実情です。

ご自身の財産を生前に贈与される際は、

あらかじめ専門家にご相談のうえ、

充分に注意を払って執り行うのがベストです。



被相続人が、生前、ご自身の預金をせっせと家族名義口座に移し替えていた、

というケースは、実務上、非常に多く見られます。

 

問題となるのは、その預金が家族口座に振り込まれた際、

贈与契約が法的にキチンと成立していたかどうか、です。

成立していたならば、その預金は、贈与を受けたご家族の所有財産となります。

(ただし贈与税が課される場合がありますので、ご注意下さい。)

 

成立していないならば、その財産は(法律上)本人所有のままであり、

つまりそのご本人が死亡した際は、相続財産として遺産分割の対象となります。

 

相続税申告後の税務調査において、

この家族名義預金の存在が必ずクローズアップされます。

 

名義預金とは、

形式上の名義はご家族(奥様、お子様、お孫様など)であるが、

実質上の名義は他の者(お亡くなりになったご主人)である、など

つまり形式上の所有者と真の所有者が異なる預金のことをいいます。

贈与契約がしっかり成立していないと、このような現象が生じるのです。

 

相続税申告における名義預金の取り扱いは、以下の二つに大別されます。

 

1.贈与契約が有効に成立している場合

   名実共に家族名義の財産となりますので、遺産分割の対象とはなりません。

   (相続開始前3年以内の生前贈与加算、など幾つかの考慮事項があります。

    必ず専門家にご相談下さい。)

 

   ただし贈与税の申告をキチンとしてますか?

   贈与税の時効は、法定申告期限から6年です。

   時効前の未申告贈与については、すみやかに事後申告&納付しましょう。

 

2.贈与契約が有効に成立していない場合

   その財産は形式上の所有者(ご家族)ではなく、

   真の所有者(お亡くなりになった被相続人)の名義とみなされます。

   つまり遺産分割の対象となります。

   実務上は、預け入れ銀行との兼ね合いもありますので、

   形式上の名義人(未成年である場合は、その親)がそのまま相続する、

   というパターンが多いです。

 

   相続税申告の際は、

   この名義預金も課税の対象となりますので、ちゃんと財産リストに載せましょう。

   さもないと・・・

   税務調査官が隅々まで全て調べ上げて、税務調査でこっぴどく絞られます。

   くれぐれもご注意下さい。



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