相続コラム

「その他」のコラム

適用要件が非常に厳しく使い勝手の悪かった事業承継税制ですが、今回の税制改正で若干要件が緩和されました。


事業承継税制とは、要するに、一定の要件を満たすことによって、代表者が所有する自社株式を後継者に生前贈与する、あるいは代表者の死後に後継者が相続で取得する際の税負担を軽減しますよ、という制度です。


これがまあ何とも使い勝手の悪い制度でありまして、弊社のお客様でも、この制度を活用することがなかなか出来ずに苦慮していたところです。


今回の主な改正点は、次の通りです。


1.事業を承継する相続人の要件

   【改正前】亡くなった代表者の親族であること。

   【改正後】親族でなくても可。


2.自社株式を生前贈与する場合における贈与者の要件

   【改正前】贈与時において、その会社の「役員」でないこと。

   【改正後】贈与時において、その会社の「代表者」でないこと。

         +その後、その会社から給与を貰い続けても可。


3.雇用の確保要件

   【改正前】少なくとも5年間は常に雇用を8割以上確保し続ける。

   【改正後】上記要件を「5年間の平均値」に改める。


4.経済産業大臣に対する事前確認

   【改正前】原則として必要。

   【改正後】不要。



他にも色々ありますが、おおむね上記のような感じです。


この程度の改正で事業承継税制の利用数が劇的に増加するかどうかは非常に微妙ですが、一度検討してみる価値はあると思います。



平成27年度より、相続時精算課税制度の要件が見直されます。


結論から言いますと、納税者にとって有利になります。


【現行制度の内容】

 1.贈与者(あげる人) 65歳以上の実

 2.受贈者(もらう人) 20歳以上の(子が死亡した場合は孫)


【改正後(平成27年以降)】

 1.贈与者(あげる人) 60歳以上の実または祖父母

 2.受贈者(もらう人) 20歳以上のまたは



現行制度では、原則として「65歳以上の親 ⇒ 20歳以上の子」の贈与に対してのみ、相続時精算課税制度を使うことが可能です。

例外として、その子が既に亡くなっている場合のみ、推定相続人である子の子(つまり親の側からすれば孫)に対しても適用することができます。


改正後は、まず年齢要件が引き下げられると共に、その適用対象が祖父母、孫に拡大されます。


つまり国側の意図としては、前回説明した暦年贈与税率の改正と同様、おじいちゃん&おばあちゃん世代から、その下の世代への財産移転を活性化させよう、ということです。

マイホームやマイカー、子供の教育資金など、若い世代は何かと物入りです。

そういう世代に対する資金の供給源として、親または祖父母の貯金を使ってください、その代り贈与税の要件を緩くしますよ、ということです。


今回の税制改正は、富裕層に対する相続税課税を厳しくする一方で、生前贈与を活性化させるために贈与税課税を緩めているのが大きな特徴です。

皆さま個々人の想いとしては賛否両論ありましょうが、我々納税者にとって有利な改正内容であることは間違いありませんので、活用をご検討されては如何でしょうか。



各位


いつも弊社をご愛顧頂き、誠にありがとうございます。


お陰様でホームページからのお問合せ、ご紹介者からの紹介など、毎日数件ペースの新規問合せを頂戴している状況でございます。


弊社は、新規のお問合せ・ご相談につきましては以下の方針により対応させて頂いておりますので、今一度皆様のご理解を頂きたく改めてお願いする次第でございます。


1.ご相談内容に関する具体的回答は、電話・メールでは原則いたしておりません。電話・メールは、あくまでも弊社側がご相談内容を事前に把握し、面談日時をスケジューリングするための手段としておりますことを何卒ご理解ください。


2.新規のご相談に関する回答は、原則として代表・前島が面談にて対応しております。遠方のお客様に対しても、原則として弊社にお越し頂き、最低一度は面談させて頂いております。その理由は二つございます。


 ・電話やメールはあくまでも二次的なコミュニケーション手段であり、

  微妙なニュアンスが伝わらないケースが多くございます。

  綿密なコミュニケーションをとるためには、面談は必須でございます。


 ・お客様に対して疑いの目を持つことは大変失礼ではありますが、

  例えばマネーロンダリングのために新規会社を設立する、等の手段を

  とる過程において、弊社サービスが利用されることがあってはなりません。

  弊社としては、お客様と対面してしっかりとお話をすることにより、

  そのような不正に関与することを防止する必要があります。


3.面談予約をしたにも関わらず、来社されない、あるいは20〜30分遅れて来社するケースが稀にございます。他のお客様に対して大変失礼な事態を招くことになりますので、くれぐれも時間厳守、そして万が一キャンセルまたは時間変更を希望される場合には、必ず早期にご一報をお願いいたします。



上記の次第でございますので、毎週十数件、多いときはそれ以上の新規相談を受け付けるペースが続いております。「今すぐ相談したい」というお客様に対して、そのご要望にお応えすることができないケースも稀にございます。

上記の事情をご理解のうえ、お早目の面談予約をお願いいたします。


スタッフ一同、今後もお客様のために精進する所存でございますので、何卒よろしくお願い申し上げます。


代表 前島 治基



3月29日(金)、今まで解説してきた税制改正案が無事(と言ってよいかどうか分かりませんが・・・)国会で承認されました。

よって、本シリーズのタイトルを「税制改正の大綱について」から「税制改正について」に変更し、このまま解説し続けることにします。


さて、相続税に関する改正内容の解説は前回で一応終了し、今回からは贈与税の改正内容です。


まずは暦年贈与について。


20歳以上の人が、

1.直系尊属(つまり父母または祖父母)から受ける贈与

2.上記以外の人から受ける贈与

について、それぞれ税率構造が異なることになりました。

結論から申し上げますと、上記1の方が有利になります。


【改正前の税率構造】

 200万円以下 10%

 300万円以下 15%

 400万円以下 20%

 600万円以下 30%

1000万円以下 40%

1000万円超  50%


これが、改正後は次のようになります。


【直系尊属からの贈与】

 200万円以下 10%

 400万円以下 15%

 600万円以下 20%

1000万円以下 30%

1500万円以下 40%

3000万円以下 45%

4500万円以下 50%


【上記以外からの贈与】

 200万円以下 10%

 300万円以下 15%

 400万円以下 20%

 600万円以下 30%

1000万円以下 40%

1500万円以下 45%

3000万円以下 50%

3000万円超  55%



改正前と比べますと、まず税率構造が細分化されました。

そして、最高税率がアップしました(改正前50%⇒改正後55%)。


しかし、全体的には緩やかな税率アップ構造となっておりますので、よほど多額(数千万円以上)の贈与でない限り、納税者の税額負担は軽減されることになります。


贈与税の負担を緩めるということは、つまり高齢者世代から若者への財産移転を活発化させる、という国側の意図に基づくものです。

家を買ったり、車を買ったり、結婚して子供に教育させたり、と若い世代はとにかくお金が必要です。これを活性化させることによって日本全体の購買意欲を上昇させ、景気回復させようという意図が見て取れます。


つまり、今回の税制改正は、相続税をアップさせる代わりに、贈与税をダウンさせる傾向となっております。



今回の税制改正では、未成年者控除だけでなく、障害者控除も引き上げられる予定です。


現行税制では、相続人のうちに障害者がいる場合、その障害者が85歳になるまでの年数につき1年あたり6万円(特別障害者の場合は12万円)の控除が認められております。


これが、改正後は、1年あたり10万円(特別障害者の場合は20万円)になる予定です。

納税者にとって有利な改正です。


なお、これまで解説してきた税制改正案は、今のところ国会で審議中であり、まだ最終決定の段階ではありませんが、これが無事(?)国会を通りますと、平成27年1月1日以降に発生する相続において、この改正内容が適用される予定です。


つまり、今年または来年に亡くなった人に関する相続については、これらの改正は適用されず、現行の税制が適用されます。


人の死期は神様が決めることなので、我々人間がどうこうすることは出来ませんが、その死期によって遺族の相続税負担が上下する微妙な時期が到来したということです。


まとめますと、今回の相続税改正は、納税者にとって有利な事項と不利な事項があります。


【不利(納税負担が上がる)な事項】

 相続税基礎控除額の引き下げ

 相続税最高税率の引き上げ


【有利(納税負担が下がる)な事項】

 特定居住用宅地等の特例対象面積の拡充

 居住用・事業用の小規模宅地特例併用面積の拡充

 二世帯住宅にかかる小規模宅地の特例適用

 老人ホーム入居者にかかる小規模宅地の特例適用

 未成年者控除の引き上げ

 障害者控除の引き上げ



基礎控除額引き下げのインパクトが絶大なので、総体的には納税者の負担が増えることは間違いありませんが、その一方で高齢者の住宅事情、未成年者や障害者など社会的弱者に配慮した改正も多くありますので、やや痛み分けといったところでしょうか。



このページの先頭へ戻る